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アルコール関連障害障害 ―第2回―

 アルコール依存症と「アル中」は違うの?

 お酒を飲んで駅のベンチで寝転がったり、道ばたで寝ている人を世間では「アル中」と称しています。何となくこの言葉には「意志が弱くて、駄目人間」といったような蔑視的、偏見的なニューアンスを持っているように思われます。このアル中という用語は、過去に「慢性アルコール中毒(略してアル中)」と呼ばれていた時期がありその名残なのですが、現在も生き続けている言葉です。

 では、アルコール依存症とアル中は同じなのでしょうか。医学的には、「依存症」と「中毒」は区別して使われている。

 中毒という用語は、公害で有名になった「水銀中毒」、「カドミウム中毒」や、オウムの起こした松本市や東京の地下鉄におけるサリンガスによる「サリン中毒」。夏にピークを向かえるO-157などの細菌やウイルスによる「食中毒」が知られている。この中毒は、これらの各種薬物や物質が人間の体に入り、その量が許容量を超えると、体の正常な機能が阻害され、人間にとって不調をもたらすことを表している。この中毒(症)について、「慢性」と「急性」に分類することができる。急性は、大学生がコンパでイッキ飲みをして脳が麻痺し、ついには呼吸中枢のある延髄の機能までおかしくなると死にいたることがあり、そんな場合は「急性アルコール中毒症」と呼ばれる。では、水俣病のように、チッソ水俣工場の工場排水に含まれた微量のメチル水銀が水俣弯の魚介類中に蓄積され、それを食べると大変になることを知らずに長年にわたって摂取したことによる慢性のメチル水銀中毒、それが公害病として認知されたのですが。それと比べて、アルコールを大量に長期間にわたって飲むと体や精神的に問題が生じるとわかっていながら飲んだ場合も「慢性アルコール中毒」と言われた。

 しかし、この二つを同じ慢性の中毒と言うのはどこかおかしい。そんな疑問から、依存(症)という概念が生まれた。それは、人が自ら薬物や物質を求めていくという行動、例えば先輩からコンパで無理矢理に飲まされるというのではなく、自ら酔いを求めて夜間でも、体に悪いとわかっていても、また、家族に隠れてでも酒を買い求め飲む行動、難しく言うと薬物探索行動を依存があると名付けることになった。

 そんな訳で、慢性アルコール中毒、略してアル中は正しい概念ではなく、アルコール依存症と呼ぶのが、ナウイ呼び方なのです。でも、時代によって変わるかもしれません。ナウイもファッション死語用語なのだそうです。

 みなさん、アル中なんてダサイ呼び名は使わず、アルコール依存症と呼べるようになりましたか。では、次に「アルコール依存症」の診断を医師はどのような基準で行っているのか述べてみましょう。

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