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アルコール関連障害障害 ―第8回―

 飲酒による精神問題その2

 今回は、前回のウエルニッケ・コルサコフ脳症という馴染みの薄い病気と比べて、アルコール依存症者にとって出現頻度の高い離脱症状について述べてみましょう。

 第一回目「アルコール依存症とは、どんな病気なの」で、体調を崩して飲む量を減らしたり急に飲むのを止めたりすると、手や体の振るえ、発汗、不眠が出現するようになった場合に、この現象をアルコール離脱症状と呼ばれます。以前に禁断症状と言われたこともあります。

 離脱症状は、専門的になりますが時間経過により次のような3つの次期に分けられます。しかし、3つの時期をすべて経過する人は少なく、症状の軽い早期離脱症候群のみで終わる人が圧倒的に多いのです。

1.早期離脱症候群(最終飲酒から7~48時間)
 自律神経症状(発汗、動悸、悪心・嘔吐)
 振戦、一過性幻覚、時にけいれん発作
2.後期離脱症候群(最終飲酒から2~5、6日)
 振戦せん妄(振戦、見当識障害、幻覚、精神運動興奮)
3.離脱症状の遷延(最終飲酒から7日以降)
  後期離脱症候群の遷延(認知障害が目立つ)

 では、早期離脱症状は、酒を飲み続けるなどの連続飲酒発作が何らかの事情で続けれなくなると出現します。振戦は代表的な症状の一つで手や舌、体の粗大な震えで、字を書いたりコーヒーカップに入っているコーヒーをこぼさずに口に運ぶ事が大変であったりします。同時に、汗をかいたり、脈が速くなったり、不眠など自律神経の嵐と表現できるような状態となります。

 後期離脱症状は、離脱症状としては重症で、振戦せん妄(せん妄を伴う離脱、アルコール離脱せん妄と言う場合もあります)が代表です。この疾患の場合、意識障害を認め、今いる場所を間違え、病院にいるにもかかわらず仕事場で作業をしているつもりでいたり、時間も正しく認識できず、夜にもかかわらず昼のつもりでいたりします。その他に幻視と言って小動物が見えたり、不安になり精神運動興奮を呈したりします。一般的には1週間以内で、症状が消失しますが、時には遷延したりし、認知障害が目立ちますが時間の経過に伴い改善するのが一般的です。

 このような離脱症状を認める時は、心身ともに危険な時期です。この症状を予防ないし軽減できると、何とかお酒を断ちたいが離脱症状の出現を恐れて実行できない人には福音となります。ところが、その方法は存在します。ベンゾジアゼピン系の薬物を離脱症状が出現する前に服薬するという簡単な方法です。アルコール依存症の方には、医師と連携をとりながら離脱症状の発現を恐れず断酒に取り組んでいただきたいものです。

 

 次回は、アルコールによる心理・社会的問題を取り上げたいと思います。